古畑任三郎の事件で中森明菜は無罪!明石家さんまが弁護についた!?

ドラマ・映画

2006年1月5日放送の第42話『ラスト・ダンス』を以て最終回を迎えたドラマ・古畑任三郎は、10年以上経った現在でも多くのファンの心を掴んで離さない、魅力あふれる刑事ドラマです。

 

定期的に再放送がされるほど根強い人気を誇る古畑任三郎は、この先もきっと、20年後30年後もずーっと、長く愛され視聴され続けることでしょう。

 

人気の高いエピソードの中でも、特に上位に食い込んでくるのが第1話として放送した『死者からの伝言』ではないでしょうか。

 

この話の犯人は、80年代にアイドルとしてその名を轟かせていた中森明菜さんでしたね。

 

ひょんなことから古畑任三郎が訪れることになった別荘に、殺人を犯した小石川ちなみ(中森明菜さん)がいたのでした。

 

しかし彼女の完全犯罪は見るも無残に見破られ、逮捕されることになります。

 

彼女は服役して罪を償っていたと信じていましたが・・・、実は無罪になっていたというのです!

 

なぜ?

人を一人殺めておいて、刑に服さないってことが許されるの?

 

そこで今回は、中森明菜さんが演じた小石川ちなみが、どうして無罪になったの、その後の人生などについてまとめました。

 

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古畑任三郎の事件で中森明菜は無罪になっていた!

第1話『死者からの伝言』が放送されたのは1994年4月13日でした。

 

中森明菜さんが演じた小石川ちなみは人気少女コミックスの作家なのですが、担当編集者で恋人の畑野茂(池田成志さん)を地下の金庫室に閉じ込め窒息死させ殺害しました。

 

3日後、彼の死を見届けた小石川ちなみは、警察に連絡するもこの日の天候は嵐。

 

彼女の別荘までの道で土砂崩れが起こり、警察がすぐには駆けつけることができない状況となっていました。

 

そんな中、静かな別荘に来訪者を知らせるチャイムが鳴り響きます。

 

この来訪者こそ、小石川ちなみからしてみれば招かれざる客となる、古畑任三郎だったのです。

 

小石川ちなみは、古畑任三郎の名推理によって殺人を自白することになったのですが・・・。

 

ストーリーは、彼女の連行シーンまで至ることなく終了しました。

 

ざっと振り返っても、犯人を連行しないでドラマが終了する回は少なく、第1話もその中の一つに当たります。

 

私たち視聴者側としては、小石川ちなみは逮捕されたのち、女子刑務所に収容され罪を償ったものと思われていました。

 

しかし実は、裁判の段階で無罪放免となっていたのです。

 

これは、古畑任三郎2ndシーズン第1話となる『しゃべりすぎた男』での、古畑任三郎と小清水潔(明石家さんまさん)の何気ない会話の中で、サラリと明かされていました。

 

「小石川ちなみの担当弁護はあなたでしたか。

彼女を無罪にするとは中々の方です」


古畑任三郎のこの発言によって、小石川ちなみを担当した弁護士が小清水潔であり、しかも無罪を勝ち取っていたことが明らかになりました。

 

小石川ちなみが犯した罪

そもそも小石川ちなみは、恋人だった畑野茂をなぜ殺害するに至ったのでしょうか。

 

この『古畑任三郎シリーズ』の犯人として小石川ちなみは、最年少となる28歳でした。

 

まだ若くて美しい小石川ちなみが、殺人という残酷な手段を使わなければならなかった理由・・・。

 

それは、編集者・畑野はプレイボーイで多くの女の子に手を出しいて、自分をも弄んだことへの復讐だったのです。

 

しかし彼女は、完全犯罪の計画がおじゃんになってしまっても、殺害したことは後悔していませんでした。

 

彼女が後悔したのはたった一つ、畑野茂に出会ってしまったことでした。

 

「誤解しないでくださいね、古畑さん。

私、後悔なんてしていませんから。

私が悔しいのは、殺してしまったことじゃなくて、

出会ったこと。

あんな男のために。

どうして、私の人生を棒に振らなきゃいけないのかな」

 

彼女の犯した罪とは、編集者である畑野茂に思いを寄せ、恋をしてしまったことだったのですね。

 

小石川ちなみの心情

ドラマでは語られていなかった小石川ちなみの心情が、小説には鮮明に描かれていました。

 

小石川ちなみは恋人・畑野の殺害を決意するも、自分の手で殺してしまうことは出来ないと思い悩みます。

 

そして、直接手にかけない方法、地下の金庫室に閉じ込めて窒息死させることにしました。

 

確かに、あんなに素敵なストーリーが思いつく女性に、ものを振り下ろして撲殺とか、ナイフなどで刺殺なんて出来ないですよね。

 

しかし畑野は酸素がある限り命が尽きるまでに、自分の死が事故ではなく殺人である痕跡を残すことに成功したのです。

 

小石川ちなみの、鬼になりきれなかった心の弱さが招いた逮捕劇だったと、言わざるを得ませんね。

 

小石川ちなみを弁護したのは明石家さんま

2ndシーズン第1話の『しゃべりすぎた男』で犯人役を演じたのが明石家さんまさんでした。

 

個人的にはこの回が一番好きで、もう何度も再放送を見てきましたが・・・、見逃していました。

 

劇中では、小清水潔との会話で古畑任三郎がこう言います。


「小石川ちなみの担当弁護はあなたでしたか。

彼女を無罪にするとは中々の方です」


こんな会話をしていたなんて・・・。

 

小石川ちなみの事件を解決し、本人からの自白も聞いている刑事が、はっきりと「無罪にするとは」と言っています。

 

このことから、小石川ちなみについた弁護士は明石家さんまさんが演じた小清水潔で、あのまくし立てる口調で無罪を勝ち取ったことが明らかになったのです。

 

小石川ちなみはなぜ無罪にできたのか

自白しているにも関わらず、裁判で無罪となった小石川ちなみ。

小清水潔は、どのような弁論を繰り広げたのでしょうか。

 

・証拠不十分

・偶発的な事故

・未必の故意

 

証拠不十分

小石川ちなみの事件を振り返ると実は物証が全く無く、殺人を指し示すものと言えば自白のみでした。

 

自白には、小石川ちなみが畑野を閉じ込めたという証拠とはなりません。

 

ドラマの中で古畑任三郎は「自分を最初に見つける人間が犯人だ」といって謎を解き明かしましたが、殺人の証拠にはなっていないのです。

 

小清水潔はやり手の弁護士ですので、実際の裁判では「彼女の犯行を証明するものはなにもない」で強引に押し切ったものと思われます。

 

古畑任三郎が、小石川ちなみと接したのは極わずかの短い時間しかありません。

 

そのため、実際の裁判では証拠不十分に、強引に持っていったのではないかと思われます。

 

偶発的な事故

偶発的な事故とは、極めて偶然であり、たまたま起こってしまった事故のことを言います。

 

元々は小石川ちなみの愛犬・万五郎が、エサを執拗にねだらなければ起こることはなかった、極めて偶発的に起こりうる事件として扱うことができます。

 

瞬間的な出来事ということで、心神喪失や心神耗弱ぐらいは主張出来たのかもしれません。

 

小石川ちなみに、責任能力があるのかないのかという点で争われた可能性も十分考えられます。

 


そのように考えると、小石川ちなみの無罪判決の判断材料に十分なりえますし、そういう結果は決してありえなくもないと思われます。

 

万五郎がいたことを証明したとしても、それはあくまで、そこに小石川ちなみがいたという事実が証明されただけで、事件現場にいたという事実だけでは殺人を立証するまでには至らなかったと推測できます。

 

未必の故意

未必の故意とは、犯罪事実が必ず発生するわけではないが、発生したらしたでそれは構わないと投げやりな心理状態のことをいいます。

 

小石川ちなみが行った行為は、未必の故意による殺人が成立しうる案件であり、よって、殺人罪での起訴は出来なかった、ということかもしれません。

 

なんせ、全ては密室での出来事です。

 

法的にみても、有効な証拠物は事実上ありませんからね。

 

強いて言えば、事件現場から畑野のスリッパを片方だけ万五郎が咥えていったことぐらいですが、それは必ずしも決定的とはいえません


この事実のみでは過失致死として有罪にできたとしても、殺人罪に問うのであれば、その根拠は小石川ちなみ本人の自白のみとなり、殺人の意思があったことを立証するのはかなり難しくなるのです。

 

小清水潔は事実のアラを突き、恐らく相当に強引で悪賢い事実解釈に基づく弁護によって無罪を主張したものと思われます。

 

古畑の前では「参りました」みたいな顔していた小石川ちなみですが、裁判では一転して「そんな意図はなかった」と全面否認したのであれば、殺意を立証することは難しいでしょう。

 

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小石川ちなみは法律と小清水潔の弁護によって無罪

要するに、弁護側の立場からしたら「検察主張だけでは犯罪事実の立証が十分とは言えない」ことを、裁判官に納得させればいいのです。

 

日本の裁判は、推定無罪なわけです。

 

殺人を犯した本人が罪を認め自白していても、検察側が有罪として十分な証明を指し示し、更に合理的真実があると認められない限りは有罪とはならのです。

 

疑わしきは罰せず。

 

なので、小石川ちなみの場合も、自白していようが疑わしかろうが、検察が殺人を犯した事実を立証できない以上、無罪になるということです。

 

やり手の小清水潔弁護士がついていたのですから、『証拠不十分で無罪』とするのが可能だった、ということかもしれませんね。

 

しかし本人は罪を認めているのだから無罪にしないで、罪を償ったほうが本人にとってもスッキリしたのかもしれません。

 

古畑任三郎と小石川ちなみは特別な関係に?

小石川ちなみにとっての古畑任三郎は、自分の計画を台無しにした張本人です。

 

犯人である以上は少なからず、恨みを抱いてもおかしくはない存在ですよね。

 

しかし二人の場合は逆で、とても良好な関係になったようです。

 

それを伺い知れるエピソードとして、2ndシーズン・3rdシーズンに散りばめられています。

 

例えば2ndシーズン第7話『動機の鑑定』の、慶長の壺を巡って起きた第一の殺人の事件現場に現れた古畑任三郎は、小石川ちなみの結婚式に出席した帰りなんですよ。

 

その後、幸せな結婚生活をアトランタでスタートさせた小石川ちなみの自宅にお呼ばれされた古畑任三郎と今泉慎太郎。

 

2ndシーズン第10話『ニューヨークでの出来事』は、その帰りのエピソードとなっています。

 

3rdシーズンに入ると、小石川ちなみの愛犬・万五郎が再登場しましたよね。

 

若い奥さんの浮気の復讐として、自分の命と引き換えに妻を殺人罪の罪で逮捕させる計画を企てていた『再会』のエピソードで、小学生時代の友人・安斎亨(津川雅彦さん)宅に預けた設定になっていました。

 

更に、小石川ちなみが売りに出そうといていた別荘・ボーズヘッド荘(事件現場)は古畑任三郎が借りて使用しています。

 

最終回となる『ラスト・ダンス』では、加賀美京子(松嶋菜々子さん)に良く似た女性として、古畑任三郎が小石川ちなみの半生を語って聞かせています。

 

小道具として、小石川ちなみが描いた『カリマンタンの城』というコミックは、事あるごとに古畑任三郎が手にして読んでいました。

 

第5回『汚れた王将』では、将棋を一緒に指そうと言ってくる今泉に対して、「忙しい」と言いつつ満面の笑みでサイン入りのカリマンタンの城を自慢していましたよね。

 

あの表情がずっとひっかかっていたのですが、要するに古畑任三郎と小石川ちなみは親友の間柄となり、カリマンタンの城のファンにもなっていたのです。

 

古畑任三郎が愛読するほどのコミック『カリマンタンの城』って、どんな話なのでしょうね。

 

小石川ちなみの無罪は三谷幸喜の裁量にあった!

他の犯人たちのその後のエピソードが全く語られない中で、第1話の小石川ちなみは特別扱いされているように思えませんか?

 

ここまでVIPな扱いを受けるのには理由があります。

 

それは・・・、原作・三谷幸喜さんが中森明菜さんの大ファンだからです。

 

それ故、小石川ちなみは犯人でありながらも、誰よりも一番良い待遇を受けられたし、殺人犯という汚名からも免れたのです。

 

ていうか、三谷幸喜さん自身が「中森明菜さん(小石川ちなみ)を殺人犯にしたくなくて無罪にした」と語っているのですから確信犯ですよね。

 

小石川ちなみが無罪になった正式な理由

1996年7月に発売された『古畑任三郎の研究』と言う単行本に、何故小石川ちなみが無罪になったのか、その明確な答えが書いてありました。


まとめること、こうなります。

1,小石川ちなみは殺意を以て地下の倉庫に畑野を閉じ込め、窒息死を図った

2,閉じ込められた畑野は、事件性の痕跡を残すために自分で自分を殴った

3,畑野の直接的な死因は、自ら負った頭の傷による出血死だった

4,小石川ちなみは畑野に暴行行為は一切行っていない

よって小石川ちなみの行為には、傷害致死さえも当てはまらないのです。

巧妙に仕組まれていますよね。


因みに傷害致死と言うのは、「ちょっと突き飛ばしたら思いの外ちからが入りすぎちゃって、相手が倒れたところに運悪く石があり、それに強打して、結果的に死に追いやってしまった」というような行為のことを言います。

 

でも小石川ちなみが行ったことと言えば、畑野を閉じ込めたことだけですよね。

 

三谷幸喜さんの書籍によると、この事件の真相として次のように結論付けられています。


『小石川ちなみの存在が厄介になった畑野に殺されかけたが、ちなみが逆に殺してしまったという、正当防衛の擬装工作』

 

また、劇中の古畑任三郎は小石川ちなみの年齢を聞いて、このように語りかけています。

「まだまだじゃないですか」

「第一巻目が終わったところですよ」

「ハッピーエンドは、最後の最後にとっておけば良いんです」

「あなたは良い奥さんになれます。保証します」

と。

 

もう一歩踏み込んだところでは、大好きな中森明菜さんへの、三谷幸喜さんなりのエールだったとも見て取れます。

 

『死者からの伝言』の約7年前、中森明菜さんは大恋愛の末の破局を迎え、失意のどん底にしました。

 

大好きな人が傷ついた姿をしていたら、そっと、ホットミルクを差し出しますよね。

 

『そんな男のことで、あなたが傷つく必要はない

あなたには、もっとあなたに相応しいパートナーが現れます

だから、自分をこれ以上傷つけないで

しっかり歩いていって欲しい』

と。

 

三谷幸喜さんの中森明菜さんへの愛情は、小石川ちなみというキャラクターを通して注がれていたのですね。

 

古畑任三郎の事件で中森明菜は無罪!明石家さんまが弁護についた!?のまとめ

小石川ちなみが無罪になった理由、それは、原作者である三谷幸喜さんの深い愛情の上に成り立っていました。

 

しかしながら事件が発生した当夜の出来事は、古畑任三郎とのやり取りのみで、実際に目撃者がいるわけでも確たる物証があるわけでもありません。


殺人であることの立証するのは困難です。

 

その上、やり手の弁護士・小清水潔が弁護についているのですから、この時点で小石川ちなみを有罪にするのが難しかったでしょうね。

 

とはいえ、自分の殺人を煙に巻くことは出来なかったのですから、小石川ちなみの事件でも、検事側に古畑任三郎がついていたら・・・、どうなっていたかわかりませんね。

 

古畑任三郎のドラマを見ていると、小石川ちなみの人生もセットで伺い知れる構成になっています。

 

早速ドラマを見返してみねば!!

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