古畑任三郎は放送終了してから約15年が経ちましたが、未だに根強い人気を誇っています。
あの自由奔放な捜査と、独特な観点から犯人を導き出す鋭さ。
何回見ても惚れ惚れしちゃいます。
そう。
何回も見ていると、気になってきたのが猫の名前です。
全シリーズを通して猫は3匹登場しますが、タマとかポチとかではない・・・ユニークな名前が印象的でした。
・ドモンジョ
・ポンヌキ
ね?ちょっと変わっていますよね。
ということで、今回は、古畑任三郎に登場する3匹の猫の名前について調べてみました。
おしゃまんべ /飼い主:今泉慎太郎
おしゃまんべは、古畑任三郎の部下である今井慎太郎が飼っている猫に付けられていた名前です。
名前だけは劇中ちょこちょこ出てきますが、おしゃまんべ自身はほんの一瞬しか姿を見せませんでしたよね。
第2シーズン第1話(#14)『しゃべりすぎた男』の明石家さんまさんの回で、登場しました。
おしゃまんべの登場シーン
この回の犯人となる小清水潔(明石家さんまさん)は、計算高い弁護士でした。
小清水にとって将来的に有益な女性との結婚が決まると、大学の同級生で恋人の向井ひなこ(秋本奈緒美さん)に別れ話を持ちかけます。
しかし、すんなりと別れに応じない向井を亡き者にするため、無計画殺人を犯します。
その現場に場違いのテンションで訪れるのが・・・今泉慎太郎でした。
今泉もまた小清水の大学の同級生で、三人は同じサークルの仲間だったのですが、小清水は自分の保身をはかるため・・・事もあろうことに刑事である今泉に罪をなすりつけたのです。
まんまと罠にハマった今泉は、血まみれの手で部屋中に指紋をベタベタ残して自宅のアパートへと逃げ帰りました。
今泉のアパートに乗り込んできた刑事が部屋中を捜索している傍ら、眠そうな顔で迷惑そうにしている猫ちゃんが“おしゃまんべ”です。
おしゃまんべとは
おしゃまんべというフレーズは、1992年~1995年にフジテレビ系列で放送された『夢がMORI MORI』で、森口博子さんが一発芸のように「おしゃ、まんべ」と発言していたように記憶しています。
しかしこのギャグ、もともとは喜劇俳優・由利徹さんの持ちネタでした。
後日、由利徹さんと共演した森口博子さんは、「おしゃ、まんべ」の正しいやり方の指導を受けていましたよね。
由利徹さんのギャグネタとなっているおしゃまんべは、漢字にすると『長万部』と書きます。
北海道の山越群に属する町で、札幌と函館の間に位置した海に面する町です。
そうなんです。
もともとの大元とたどると、おしゃまんべは北海道にある地名だったのです。
ちなみに長万部という地名は、アイヌ語が由来となっているそうですよ。
・『ヒラメのいるところ』という意味の『オ・シャマンベ』
おしゃまんべの名前の由来
古畑任三郎の原作者・三谷幸喜さんは、面白いことが大好きな人ですよね。
実は三谷幸喜さん。
小林聡美と婚姻関係にあるときに飼っていた猫に、“おしゃまんべ”という名前をつけていたそうなんです。
猫種はオシキャット。
見比べてみると劇中のおしゃまんべも、オシキャットと同じ茶系統の毛色にトラ生地のような模様だったですよね。
なのでおそらく三谷幸喜さんは、喜劇俳優・由利徹さんの持ちギャグである「おしゃ、まんべ」にインスパイアし、実際に自分が飼っていた猫に『おしゃまんべ』と名付けたのです。
で、その子を、今泉が飼っている猫として登場させた・・・と、考えるのが自然な流れではないでしょうか。
ドモンジョ /飼い主:向井ひなこ→古畑任三郎
ドモンジョは、おしゃまんべと同じく#14『しゃべりすぎた男』で登場した猫ちゃんです。
飼い主だった向井ひなこが殺害され、そのあとは古畑任三郎が引き取って飼うことになりました。
第2シーズン第8話(#21)『魔術の選択』の、山城新伍さんが犯人の回で再登場しましたよね。
ドモンジョが具合を悪くしたことで、動物病院へ。
待合室で出会ったのが、松たか子さんでした。
ドモンジョとは
ドモンジョなんて、日本人の頭にはなかなか出てこないワードだと思いませんか。
似たフレーズとして親しみがあるのは、タイムボカンシリーズのヤッターマンの宿敵・ドロンジョ様ですよね。
しかし『ドロンジョ』から『ドモンジョ』に変換するのは至難の業。
ということでドモンジョを検索してみると、ミレーヌ・ドモンジョというフランスはニース出身の女優さんがヒットしました。
ミレーヌ・ドモンジョさんは17歳で女優としてデビューすると、次々と映画作品に出演し、フランスのみならず日本でも脚光を浴びるようになります。
実は日本の作品でも『ヨーロッパ特急』という、武田鉄矢さん主演の映画に出演されているんですよね。
透き通った白い肌と、柔らかい笑顔が素敵なミレーヌ・ドモンジョさん。
もしかしたら三谷幸喜さんは、ミレーヌ・ドモンジョさんのファンだったのかもしれませんね。
ちなみに、ドロンジョ様のモデルになったのも、ミレーヌ・ドモンジョさんだそうですよ。
ドモンジョの名前の由来
三谷幸喜さんが、ミレーヌ・ドモンジョさんのファンだったかどうかは定かではありませんが、彼女になにかしらの思入れがあるように感じます。
だからこそ猫として自分の作品に登場させ、飼い主を失っても古畑任三郎に引き取られるという恩恵にあずかることができたように思います。
そして、体調を崩した設定で再登場させたのも、三谷幸喜さんがドモンジョを愛していたからなのかもしれませんよね。
なんでもかんでも面倒臭がる古畑任三郎ですが、ドモンジョを動物病院へ連れて行くエピソードによって、ドモンジョが古畑に大切に飼われていることを印象づけましたよね。
これは、中森明菜さんが演じた小石川ちなみと同様、ドモンジョに愛着があるというか、好きだからこその・・・かもしれません。
しゃべりすぎた男の猫アレルギーエピソード
おしゃまんべとドモンジョが登場する回で、向井ひなこは恋人の小清水潔が来訪する際、ドモンジョをペットホテルへと預けていました。
それは、小清水が猫アレルギーだったからです。
実はこの猫アレルギーというのも、三谷幸喜さん自身の実体験が盛り込まれていると思われます。
三谷・小林夫妻宅で飼われていた猫は、全部で3匹いました。
そのうちの一匹となる捨て猫ホイ君が子猫だった頃、あまりの愛らさに自分が猫アレルギーであることをついつい忘れて、ホイ君の頭をパクリ・・・。
当然、思いっきりアレルギー症状が出て、三谷さんはひどくむせ返ったことがあるのだそうです。
数ある古畑任三郎のエピソードの中でも、『しゃべりすぎた男』は特に人気のあるストーリーです。
その秘密は、三谷幸喜さんと密接に関わるものが、ふんだんに盛り込まれていたからなのかもしれませんね。
・ドモンジョ(猫種:アメリカン・ショートヘア)
・猫アレルギー(捨て猫とのエピソード)
ポンヌキ /飼い主:小田嶋夫妻
古畑任三郎で登場する猫の三匹目は、第3シーズン第7話(#34)『哀しき完全犯罪』の田中美佐子さんが犯人の回でした。
田中美佐子さんが演じた小田嶋さくらが言うには、「ポンヌキは主人の猫」だそうで、二人が結婚する前からポンヌキは佐吉(小日向文世さん)に飼われていたことになります。
その大切な飼い主を、嫁が殺害・・・。
なんともかわいそうな猫ちゃんなのです。
ポンヌキの名前の由来
ポンヌキの名前は劇中で、古畑任三郎が変わった名前だからと由来をきいていました。
ポンヌキというのは、囲碁のポンヌキ三十目というとてもいい手があり、そこから名付けたのだそうです。
いかにも、プロの囲碁棋士がつけそうなネーミングですよね。
ポンヌキ三十目とは
日本囲碁連盟のサイトによると、ポンヌキ三十目は囲碁用語であり、次のように解説されています。
囲碁用語『ポンヌキ三十目』実際に目数で表すことはできないが、ポンヌキの威力は三十目もあるほど大きい、ということを表現した格言
囲碁に精通しているわけではないので、正式なことまではわからなかったのですが、要するに、相手の1個の石に対して、最低個数となる4個の石で上下左右の四方から挟み、ポンと気持ちよく抜き取る手法のことのようです。
なるほど。
それは確かに気持ちよさそうですよね。
古畑任三郎に登場する猫の名前!おしゃまんべ・ドモンジョ・ポンヌキのまとめ
今回は、古畑任三郎に登場する猫ちゃんたちの、変わった名前をまとめてみました。
ドモンジョは、多分、三谷幸喜さんがファンであろうミレーヌ・ドモンジョさんの名前。
ポンヌキは、ポンヌキ三十目という囲碁で非常に良いとされる格言から。
です。
小説や漫画の原作者は私生活をヒントにしたり、友人・知人からきいたエピソードなんかをヒントにしたりするそうですが、ここまでふんだんに盛り込まれているとは思いませんでしたね。
しかもまさか、三谷幸喜さんが猫アレルギーだっただなんて・・・目から鱗でした。
自分のウィークポイントさえもネタにしてしまう三谷幸喜さん。
頭が下がります。