2019年9月30日からNHKにて、連続テレビ小説『スカーレット』が放送を開始します。
スカーレットは主演に戸田恵梨香さんを迎えて、陶芸の世界を生きる一人の女性の人生を描くヒューマンドラマとなっています。
時代は第二次世界大戦後で、日本は復興のために全国民が懸命に生きていました。
戸田恵梨香さんが演じる主人公・川原喜美子もまた、その時代を力いっぱい生きる一人です。
川原喜美子の元となるモデルは存在せず、完全オリジナルのストーリーとされていますが、信楽焼の女流陶芸家として活躍する神山清子(こうやまきよこ)さんの半生を参考に主人公を描きます。
そこで今回は、スカーレットの物語を予想しつつ、主人公・川原喜美子がのめり込んでいく信楽焼についてまとめました。
スカーレットはどんな物語?
このドラマの主人公・川原喜美子の元となる人物は存在しないのですが、参考にさせていただいているのが女流陶芸家の神山清子さんです。
神山清子さんはもともと、絵かきになりたいと考えていました。
しかし神山清子さんの父親から「勉強など不要だ」「女は料理と裁縫ができていればいい」と言われ、和裁・洋裁学校に進学させられます。
スカーレットの主人公・川原喜美子もまた、幼い頃から絵を書くことを得意としている設定になっているので、ほぼほぼ神山清子さんの姿を描いていくことになりそうですね。
ただ、信楽焼に携わる過程は違っているようです。
神山清子さんの方は、勤めていた会社が火鉢などを作っていたのですが、時代の流れにより経営が傾き始めるとスッパリ辞職を決意します。
神山清子さんは、非常に潔いよい女性といえますね。
その後、狸や灯籠の型押しの下請けする形で信楽焼にふれることになりますが、この型押しという手法はかなり難しい上にお金にならないことから神山清子さんは、台所で考えたそうです。
「信楽の土で食器は焼けないだろうか」と。
皿を作り窯で焼いてみたところ、思いの外、味のある皿に仕上がったことから研究を重ね、『編み込み』編み出して皿に取り入れたそうです。
一方の川原喜美子は、大阪から地元に戻ってくると陶芸の信楽焼に魅了され、その世界に飛び込む・・・としています。
信楽焼は狸の押し型が有名ですが、ドラマの中で川原喜美子は、狸制作はしないのかもしれないですね。
『喜美子は自らの窯を開き、独自の信楽焼を見出していく』
このように紹介されているところから推測すると、日本クラフト展や朝日陶芸展に入選することで信楽焼の女流陶芸家として一気に注目を集めるようになった神山清子さんのように、川原喜美子もまた皿づくりに没頭し、コンクールで入選を繰り返して女流陶芸家へと成長していくといったストーリー展開になっているのでしょうね。
スカーレットで扱う信楽焼はなぜ狸が有名?
信楽焼は、狸が代名詞とされるほど有名ですよね。
確かに信楽の町を散策すると、あちこちで狸の姿を見かけます。
何十年も、何百年も愛され親しまれているようにも思える『狸』ですが、実は作られるようになったのは昭和10年頃と歴史は浅く、めっちゃ最近なんですよね。
ここまで有名な狸を作るキッカケとなったのは、陶芸家である藤原銕造(ふじわらてつぞう)さんが幼い頃、陶芸の修行中に川原で目撃した『腹鼓を興じる狸』の可愛らしい姿が印象的で、強く脳裏に焼き付いていたことだったといいます。
狸の群れが突然目の前に現れて、輪を作ってお腹を叩き出す光景を目撃したら、そりゃあ可愛いに決まっていますし、作品にしたいと思うでしょうね。
狸はお金に関する精霊
そして狸には昔から、お金に関して精霊と考えられていました。
それを踏まえて信楽の町をみてみると、ほとんどの飲食店等の店先に狸が置かれていることに気が付きます。
このように狸は商売繁盛の守り神として店先に置かれているのです。
しかも、狸のありとあらゆるパーツで縁起が良いとされていて、それは商売繁盛以外のご利益が込めらていました。
・笠(咄嗟のトラブルや災難など、降りかかる悪事をよける)
・目(あらゆる方向への気配りと正しい判断ができるように)
・口元(仏頂面にならず、いつも笑顔でいることで商売繁盛)
・お腹(常に冷静であり大胆な決断力、落ち着きの象徴)
・徳利(飲食に困らないように、徳が持てるように)
・通帳(信用第一、お客様との信頼関係が上手く築けるように)
・金袋(金運に恵まれるように)
・尻尾(何事も大きく太くしっかりした人生であるように、良い終わりを)
縁起が良いと言われる8つのパーツを持つことから『八相縁起(はっそうえんぎ)』と言われています。
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信楽焼の狸を有名にしたのは昭和天皇?どんな関係が?
信楽焼の狸が制作されたのが昭和10年頃となると、今のようにインターネットが普及していない時代に全国的に有名にするのはかなり難しいと思われますよね。
しかし信楽焼の狸は、昭和26年に全国から注文が殺到するほど有名になるのです。
それは、なぜか?
信楽焼の狸を有名にしたのは、信楽の人々でも陶芸家の藤原銕造さんの力でもありません。
実は、昭和天皇が有名にしたのでした。
1951(昭和26)年に昭和天皇は信楽を訪問されたのですが、この時沿道には日の丸の旗を持った多くの狸たちが昭和天皇を歓迎したのでした。
子供の頃から狸の置物を集めていた昭和天皇は、狸たちの歓迎に感激し歌を読まれています。
『をさなきとき あつめしからに なつかしも しからきやきの たぬきをみれば』
このエピソードがマスコミに取り上げられ新聞で報道されると、「縁起が良い」「愛嬌があって可愛い」と全国に知れ渡り、信楽狸が一気に有名になったのです。
因みに
昭和天皇が歌われた歌は、信楽町の新宮神社の鳥居の横に『天皇が読まれた歌』として刻んだ歌碑が設立されました。
紫香楽一宮 新宮神社
529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野1151-1
0748-82-0078
スカーレットはどんな物語?信楽焼はなぜ狸が有名?昭和天皇との関係のまとめ
信楽焼=狸という方程式が成り立ちますが、ドラマ『スカーレット』では狸の制作シーンはないかもしれませんね。
しかし、男勝りの職業に魅力を感じ、女性であるにも関わらず陶芸の世界を突き進んでいく川原喜美子の姿は、同じ女性としてもっと強く生きていかねばという指針のようなものを感じ取れるのではないかとワクワクしています。
10代を演じる戸田恵梨香さんにも注目したいと思います!