国民の人気者、ドリフターズのメンバーとして活躍していた志村けんさんが、2020年3月29日23時10分に亡くなりました。
先月70歳の誕生日を迎えたばかりでした。
死因は、新型コロナウイルスの感染による重度の肺炎です。
志村けんさんはいつでも明るく元気で、落ち込んでブルーになっている気持ちを笑いに変えてくれる、神様のような存在でした。
ただ、今は、3月4日に放送された、千鳥の大悟さんとひとみおばあさんのコントが微笑ましくて、脳裏で何度もリピートされています。
大悟さんの、ひとみおばあさんに向けられる優しい眼差しが、本当に温かくて柔らかくて。
うまく言葉に出来ないのですが、「最期の最期に優しく接してくれるお客さんを接待できて、ひーちゃん、よかったね」って思います。
多くの人から愛されていた、志村けんさんの命を奪った新型コロナウイルス。
今回は、志村けんさんの闘病から見えてくる現実や、亡くなってからの様子などをまとめました。
志村けんの闘病はたったの2週間
志村けんの基本情報
芸 名/ 志村けん(しむらけん)
本 名/ 志村康徳(しむらやすのり)
生年月日/ 1950年2月20日
没年月日/ 2020年3月29日
出身地/ 東京都北多摩郡東村山町(現:東京都東村山市)
血液型/ A型
身 長/ 166cm
体 重/ 65.3kg
グループ/ ザ・ドリフターズ
趣 味/ 音楽鑑賞
事務所/ イザワオフィス
志村けんの闘病時系列
2020年3月17日に、新型コロナウイルスを発症された志村けんさん。
最初に訴えた症状は、倦怠感だったと所属事務所の方が明かし、自宅療養することになりました。
志村けんさんは、とにかく「ボコボコの殴られたような痛みがあった」と言ってあったそうで、この証言は、英国に在住する28歳の男性が語った体験談と一致するといます。
「あの痛みと苦しみは、交通事故に遭ったみたいな感じだと言っても、大げさではない」
19日には発熱と呼吸困難が出始めました。
発症してから二日後、容態は軽くなるどころかますます悪くなることに、志村けんさんはきっと、「たちの悪風邪にでもかかったか」と思われたのではないでしょうか。
20日に訪問診察で重度の肺炎と診断され緊急入院となります。
21日には人工呼吸器に切り替えられ、つらそうにする志村けんさんを麻酔で眠らせ、それ以降の意識はなくなりました。
23日、新型コロナウイルスの陽性と判明。
24日に国立国際医療研究センター病院へ転院します。
こちらの病院に転院すると、ECMO(体外式模型人工心肺)を装着しました。
また、肺には影が見られ、気道確保する気管挿管の処置が取られます。
ECMOは、患者さんの弱った肺の活動を休ませながら回復するまでの間、人工的に肺の機能を担ってくれる装置です。
肺を治す装置ではありません。
肺を治すのは、本人の力に委ねられるのです。
しかし、29日の23時10分。
志村けんさんの閉じられた瞳は再び開かれることなく、永遠の眠りにつくことになりました。
志村けんの最近の様子
2020年1月、半年に一度の健康診断を必ず受けていた志村けんさんの胃に、ポリープが見つかりました。
4日間の入院で摘出手術を受けていましたが、仕事に影響することはなかったそうです。
また、愛煙家と知られていた志村けんさん。
2016年に肺炎を患って入院したことで、大切な舞台公演を中止することになってしまったそうです。
これにはショックを隠しきれず、それ以降は禁煙していました。
志村けんさんはお酒も大好きで、毎晩のように深酒をしていたと笑って話していましたが、健康を気づかい飲む量は減っていたと、お兄さんが明かしました。
しかし、通院をしなければならないような持病はなく、顔色はよく体調もよかったそうです。
志村けん亡くなっても遺族に会えず
志村けんさんのお兄さんは、このように語られました。
「顔を見られずに別れなくてはならなくて、つらい」
「感染症で亡くなると、死後も顔を見に会いに行くこともできない」
「火葬も病院が指定したところで行われ、骨上げにも立ち会うことができない」
「本当はもっと盛大にやってあげたい」
「お花をたくさん飾ったりしてね・・・」
お兄さんの言葉から見えてくるのは、新型コロナウイルスに感染していることで志村けんさんには、入院中は面会謝絶でお見舞いも満足に出来なかったこと。
そして、最期を看取ることも出来ず、人知れず亡くなったということ。
更に亡くなってからも、ご遺体とは対面することが出来ず、顔を見ることも許されず、病院から火葬場へ直行しなければならないこと。
遺骨さえ、拾骨できないこと。
厚生労働省のガイドラインには、新型コロナウイルスに感染した人のご遺体について次のように記載さています。
『非透過性能体袋に収容、密封することが望ましい』
『極力そのままで火葬するように務めてください』
新型コロナウイルスは非常に感染力が強いウイルスのため、患者さんが亡くなると同時にウイルスも即死滅ということはありません。
細胞が機能していなくてもご遺体の中には体液があり、その中に感染性を保持したままウイルスが潜んでいるそうです。
一般的に、普通に亡くなった故人なら一度自宅に帰り、お通夜・葬儀・告別式を経て火葬という流れになっています。
しかし、感染症で亡くなったご遺体からの接触感染を避けるためにも、普通とは違う形で葬られるそうです。
ちょっと衝撃的で、気持ちが重くなってしまうかもしれませんが、今ある状況に危機感を覚えてほしいので、柔らかくお伝えします。
この袋はバイオハザード対応となっていて、二重構造なんだそうです。
旅支度をしないままのご遺体を収納後、消毒をして納棺し、さらに消毒されます。
この時に対応するスタッフは、マスク・手袋・ゴーグル・ガウンなどの防護服着用が必須となります。
霊柩車を運転するスタッフもフル装備をしなければなりません。
お通夜・葬儀は執り行うことなく、遺族ともお別れをすることも許されず、立ち会うことも叶わないまま、お棺は炉に入れられ永遠の別れとなるのです。
志村けんが教えてくれた新型コロナウイルスの恐怖
志村けんさんが倦怠感を訴え、入院から危篤、亡くなるまでの様子を想像するだけで、辛く悲しい気持ちになります。
体中をウイルスが充満していると言うだけで、お見舞いも出来ず、直接触れて励ましの言葉もかけられず、最期を看取ることも出来ないのです。
亡くなってからも、闘病で疲れ果てたご遺体をお風呂にも入れてあげられない、きれいに着飾らせることもできません。
旅支度も死に化粧もしてあげられません。
大切にしていたものや愛用していたものを、お棺の中に納めることもできません。
お棺の中に眠る志村けんさんに、お花を手向けてあげることもできないのです。
新型コロナウイルスに感染・発症してしまった人は、一人寂しく旅立たなければならないのです。
どんなに富や名誉があっても、危険なもの扱いを受けなければならないのです。
もしそれが、あなたの大切な親だったり兄弟だったり友人だったりしても、『他人事』でいられますか。
ウイルスの増殖の実態
新型コロナウイルスの潜伏期間は1日~14日とされていますが、一般的には約5日ということです。
たった1個のウイルスは、24時間で100万倍にも増殖するといわれています。
例えば、潜伏期間が5日だとすると、
100万×100万×100万×100万×100万
=1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
=100穣となります。
この時点で途轍もない数になってしまっています。
志村けんさんの場合、発症して倦怠感を感じながら更に二日間の自宅療養に入りました。
重度の肺炎と診断されて緊急入院し、人工呼吸器を装着するまでが4日間です。
潜伏期間が5日間と発症してから4日間、合わせて9日間の間にウイルスの数はこうなります。
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
=100恒河沙(ごうがしゃ)となるのです。
もはやどれだけ莫大な数字になってしまっているのか、想像ができません。
こうしてウイルスは、自分のコピーを増やすことだけをひたすらに考え、増殖に利用した細胞を蝕み死に至らしめるのです。
こうして数字にしてみましたが、たったの9日間でこんなにも増え、細胞が殺され、ウイルスまみれとなった身体は耐えきれずに命を奪われることになるのです。
志村けんさんのまとめ
志村けんさんは、私たちにたくさんの笑いを下さいました。
小学生の頃から見ていた、元気いっぱいにバカをやる志村けんさんは、もう帰ってきません。
もし、志村けんさんの、新型コロナウイルスとの闘いに敬意を払うなら、私たちはもっと危機感をもって行動しなければならないのではないでしょうか。
みんなが、少しでも意識を変えることで、大切な人の命を守ることが出来ます。
悲しい思いをする人をへらすことが出来ます。
致死率が高くないウイルスとは言え、絶対に軽視してはいけないのです。
志村けんさんが身を持って教えてくれたこと、ご遺族の悲痛な思い、絶対に無駄にしてはいけないのです。
さいごに
志村けんさん。
いままで、いっぱい元気をありがとうございました。
こんな形であなたとの別れが訪れるなんて、あまりにも突然で今でも信じられません。
ひょこり戻ってきて、いつもの笑顔で「だいじょうぶだぁ」って言ってほしいです。
ゆっくり休んでくだい。
ご冥福をお祈り申し上げます。