悠真が冷蔵庫を開けると目に飛び込んできたのは、ひっくり返った玉子のパック。
すべての玉子が尖った方を上に向けられていて、「あれ?」と小さく声を漏らした。
――玉子は、丸い方を上にしたほうが長持ちするんだよ。
今日、大学の友人から教えてもらったばかりの話を思い出す。
なるほどと思ったけれど、まさかわが家の玉子が逆向きだったなんて。
悠真はそっと手を伸ばし、ひとつずつ向きを整えた。
牛乳を取り出して飲もうとしたところで、ちょうど和臣が部屋の奥から顔を覗かせる。

悠真、何してるの?

うん、ちょっとね。
玉子は冷蔵庫で保存しているのに、気づけば賞味期限が近づいていたり、なんだか鮮度が落ちている気がすることはありませんか?
できるだけ長く美味しく食べたいのに、いつの間にか劣化してしまうのはもったいないですよね。
玉子は、呼吸をしている。
悠真は玉子のパックを指さして、優しくほほんだ。

今日ね、友達から聞いたんだけど・・・玉子って、丸い方を上にすると長持ちするんだって。

そうなの?

うん。
だから今度しまうときはさ、この向きにしてくれたら嬉しいなって。
和臣は「なるほど」と頷きながら、悠真の手元を眺める。
その反応に少し安心しながら、悠真は冷蔵庫の扉をそっと閉めた。
じつは、玉子は保存する向きを変えるだけで鮮度をキープしやすくなるんです。
スーパーやコンビニで買ったままの状態で冷蔵庫に入れていると、本来よりも早く劣化してしまうことも・・・。
では、玉子を長持ちさせる正しい保存方法とは? その理由とともに詳しく解説していきます!
玉子を長持ちさせる裏ワザ!正しい向きで保存するだけ
玉子は冷蔵庫で保存していても、気づけば賞味期限が迫っていることがありますよね。
でも、ちょっとした工夫で鮮度を長持ちさせることができるんです。
その方法は「玉子の丸い方を上にして保存する」だけ!
この向きにすることで、卵黄の位置が安定し、鮮度がキープされるんです。
準備するもの
- 玉子
- 冷蔵庫の玉子ケース、または玉子を入れるトレー
玉子を長持ちさせる保存方法
① 玉子の向きを確認する
玉子には「丸い方」と「尖った方」があります。丸い方には気室(きしつ)と呼ばれる空気の溜まる部分があり、尖った方よりも少し膨らんでいます。
② 丸い方を上にして冷蔵庫へ
尖った方を下にすると、卵黄が安定しやすくなり、気室がクッションの役割を果たすため、劣化を防げます。
③ 玉子ケースやトレーにセットする
冷蔵庫の玉子ケースを使う場合も、トレーに入れる場合も、すべての玉子を同じ向きに統一しましょう。向きがバラバラだと、保存状態が均一にならず、鮮度にムラができることも。

たったこれだけで、玉子の鮮度を少しでも長く保つことができます。
簡単なので、ぜひ試してみてくださいね!
|
なぜ玉子は丸い方を上にすると長持ちするのか?
玉子は生きた細胞の集合体であり、保存方法によって鮮度の保ち方が変わります。
丸い方を上にすることで、玉子の内部構造が安定し、鮮度を長持ちさせることができるのです。
その理由を詳しく解説します。
① 気室がクッションの役割を果たす
玉子の丸い方には「気室(きしつ)」と呼ばれる空気の溜まった部分があります。
玉子は時間が経つと、内部の水分が蒸発し、卵白と卵黄が縮んでいきます。
このとき、丸い方を上にしておくことで、気室がクッションの役割を果たし、卵黄が上に浮きにくくなります。
結果として、卵黄が卵白に包まれたままになり、鮮度が保たれるのです。
② 卵黄が中央に安定する
玉子の内部では、卵黄は卵白の中で浮いているような状態になっています。
尖った方を上にすると、卵黄が重力によって移動し、気室の近くに寄ってしまうことがあります。
そうなると、卵白の保護が薄くなり、劣化が早まる原因に。
丸い方を上にすることで、卵黄の位置が安定し、より長く鮮度を保つことができます。
③ 細菌の侵入を防ぐ
玉子の殻には無数の小さな穴(気孔)があり、そこから空気や細菌が出入りしています。
尖った方を下にして保存すると、気室の位置が固定され、気孔を通じた細菌の侵入を防ぐことができます。
とくに、玉子は割れると一気に腐敗しやすくなるため、正しい向きで保存することが重要です。
④ ひび割れを防ぎ、食感もキープ
玉子の殻は意外とデリケートで、保存中にひび割れることがあります。
とくに、玉子をパックのまま雑に扱うと、衝撃で細かいひびが入ることも。
ひびが入ると細菌が侵入しやすくなり、腐敗が進んでしまいます。
丸い方を上にしておくと、玉子全体の重心が安定し、衝撃にも強くなります。
また、鮮度が保たれた玉子は、調理したときの食感も良く、美味しさが長続きします。
卵を長持ちさせるには、「丸い方を上に、尖った方を下に」して冷蔵庫で保存することが大切です。
この方法を実践するだけで、卵黄の位置が安定し、細菌の侵入を防ぎ、鮮度を長く保つことができます。毎日の食事に欠かせない卵だからこそ、ぜひこの保存法を取り入れてみてください!
この裏ワザの注意点
玉子を長持ちさせるための裏ワザですが、いくつか注意すべきポイントがあります。
① 必ず冷蔵庫で保存する
玉子は室温で保存すると細菌が繁殖しやすくなります。
とくに、夏場は傷みが早いため、必ず冷蔵庫の定位置(ドアポケットではなく、温度変化の少ない棚の奥)で保存しましょう。
② パックのまま保存するのがベスト
玉子の殻には小さな穴(気孔)があり、臭いや細菌を吸収しやすい性質があります。
スーパーで購入したときのパックに入れたまま保存することで、異臭を防ぎ、衛生的に保つことができます。
③ 割れた玉子はすぐに使う
ひび割れた玉子は細菌が入りやすく、傷みが早くなります。
もしヒビが入ってしまったら、その日のうちに加熱調理して使い切るようにしましょう。
④ 賞味期限は守る
保存方法を工夫しても、玉子の鮮度には限りがあります。
パックに記載されている賞味期限を確認し、なるべく早めに消費しましょう。
とくに生食する場合は、賞味期限内に食べることが大切です。
⑤ 向きを変えるときは優しく扱う
向きを整える際に、玉子を乱暴に扱うと割れてしまうことがあります。
そっと手で持ち、慎重に入れ替えるようにしましょう。
この裏ワザを実践することで、玉子をより長く、美味しく保存できます。ただし、基本的な保存ルールを守りながら取り入れてくださいね!
玉子の鮮度を長持ちさせる保存法!の、まとめ
玉子を長持ちさせる裏ワザとして、 丸い方を上・尖った方を下にして冷蔵庫で保存する 方法をご紹介しました。
これは、玉子の気室(空気が入っている部分)を上にすることで、黄身の位置を安定させ、鮮度を保ちやすくするためです。
また、 冷蔵庫のドアポケットではなく、温度変化の少ない棚の奥で保存すること や、 パックのまま保存して異臭や細菌の侵入を防ぐこと も大切なポイントでしたね。
この方法を取り入れることで、玉子の鮮度をより長くキープでき、美味しく安全に食べることができます。
簡単にできる工夫なので、ぜひ今日から試してみてください!
★おまけ★

へぇ、勉強になったなぁ。
和臣は悠真を見つめながら、ゆるく微笑む。

でしょ?
これで玉子も長持ちするし、美味しく食べられるんだよ。
悠真が得意げに胸を張ると、和臣はくすっと笑った。

悠真って、そういうところ本当にマメだよな。

そんなことないよ。
ただ、和臣にちゃんとしたのを食べてもらいたいだけ。

そんなふうに思ってくれるの、めちゃくちゃ嬉しい。
和臣はゆっくり悠真の肩を引き寄せると、額にそっと唇を落とした。

もう、そうやってすぐ甘やかす。
悠真は照れたように顔を背けるが、和臣の腕の中から逃げることはしない。

俺の恋人が可愛いのは事実だからな。

和臣ってば・・・ほんとズルい。
ふわりと温かい空気が流れるキッチン。
玉子の向きを直しただけなのに、どうしてこんなに甘い時間になっちゃうんだろう——。