
ただいま。
いつもの帰宅の声が聞こえた。
悠真はキッチンから顔を出し、和臣の姿を目にした瞬間――その場で意識が遠のいた。
ガシッ――。
倒れる前に、しっかりと腕に抱き留められる。

おい、悠真!?

・・・えっ?
心配そうな声が耳元で響く。
ふわっとした温もりに包まれて、悠真はゆっくりと目を開けた。
目の前には、至近距離にある心配そうな表情の和臣の顔と、その袖口べったりと付着した――赤い染み。

うわああっ!!?
悠真は勢いよく身を引こうとして、バランスを崩しそうになる。

危ないって。
和臣がしっかりと支えてくれるが、それどころではない。

ちょっ、ちょっと待って、なにその血!?
ケガしたの!? 大丈夫!? どこ切ったの!??
矢継ぎ早に問い詰める悠真に、和臣は苦笑しながら「違うよ」と首を振った。

ケガじゃないよ。
ちょっとしたことだから。

ちょっとしたこと!? とりあえず和臣は無事なんだね。
じゃあシャツ脱いで!

え?

袖口、これ落とさないとまずいでしょ!
ようやく血のことだと気づいた和臣が「そういうことか」と小さく笑う。
気に入りの服に血がついてしまった…!
そんなとき、すぐに適切な対処をすれば、きれいに落とすことができます。
血液汚れは時間が経つと繊維に染み込み落としにくくなってしまうため、早めの処理が肝心となります。

俺よりシャツの心配?

当然でしょ。
和臣が平気だとしても、シャツは平気じゃないもん!

俺のあつかい、軽くない?
ブツブツ言いながらも、和臣は悠真の言葉に従ってシャツを脱いで手渡す。
悠真はすぐに洗面台へ向かい、水を出し始めた。

これ、ちゃんと落とせるから。
じつは、大根おろしを使うことで、頑固な血液汚れを驚くほど簡単に落とせるんです。
今回は、水洗いと大根おろしを活用した効果的な方法を、手順や注意点とともに詳しくご紹介します!
服についた血を簡単に落とす裏ワザ!
血液汚れは時間が経つと落ちにくくなりますが、大根おろしを使えば驚くほどきれいに!
水で洗ったあと、大根おろしで優しく叩くだけで、血液を分解して汚れを浮かせてくれます。
洗剤を使わずに落とせるので、この方法ならデリケートな生地の服でも安心。
大切な服を傷めずにきれいにできますよ!
準備するもの
◆ 冷水(血液汚れはお湯で洗うと固まるため、必ず冷水を使用)
◆ 大根おろし(新鮮なものが効果的)
◆ 清潔な布やキッチンペーパー(余分な水分を拭き取るため)
◆ 洗濯用洗剤(仕上げに使用)
手順
① すぐに冷水で洗う
汚れた部分を流水で流し、血液をできるだけ落とします。こすらず、押し出すように洗うのがポイント。
② 大根おろしを用意する
新鮮な大根をすりおろし、キッチンペーパーなどで軽く水気を切ります。
③ 大根おろしで叩く
血がついた部分に大根おろしをのせ、清潔な布や指で優しく叩きます。大根の酵素が血液のタンパク質を分解し、汚れを浮かせてくれます。
④ しばらく放置(5分程度)
酵素の働きを待つため、そのまま置いておきます。
⑤ 再度冷水で洗い流す
大根おろしを洗い流しながら、汚れが取れているか確認。残っている場合は、もう一度③〜⑤を繰り返します。
⑥ 仕上げに洗濯
最後に洗濯用洗剤を使い、通常通り洗濯します。これで、ほぼ完全に血液汚れが落ちます!

この方法なら、洗剤に頼らずにきれいにできるので、いざというときに試してみてくださいね。
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なぜ大根おろしで血液が落ちるのか?
血液の汚れが落ちにくいのは、タンパク質(ヘモグロビン)が繊維に絡みついて固まるからです。
とくに温水を使うと、タンパク質が凝固してしまい、さらに落ちにくくなります。
しかし、大根おろしには「プロテアーゼ」という酵素が含まれています。
この酵素は、タンパク質を分解する働きを持っており、血液の成分(ヘモグロビン)を分解して浮かせることで、汚れを落ちやすくしてくれます。
さらに、大根おろしには水分も多く含まれているため、繊維の奥までしみ込んで、汚れを優しく押し出す効果もあります。
つまり、
☆ プロテアーゼが血液のタンパク質を分解!
☆ 大根の水分で汚れを浮かせる!
☆ 冷水で洗い流せばスッキリ落ちる!
この組み合わせで、洗剤を使わなくても血液汚れがきれいに落ちるんです!
大根おろしの代用品
大根おろしと同じように血液汚れを落とせる代用品として、以下のものが使えます。
1. 重曹ペースト
効果の理由:重曹は弱アルカリ性で、血液のタンパク質を分解しやすくします。
使い方:
① 水と重曹を1:1の割合で混ぜてペースト状にする。
② 血液の部分に塗って10~15分放置。
③ 歯ブラシなどで軽くこすり、水で洗い流す。
✔ シミのリスク:低い
✔ 注意点:黒い布やデリケートな素材(シルク・ウールなど)は、白っぽくなる可能性があるので目立たない部分で試す。
重曹ペーストは、〇:シミになりにくい!
2. 酢(お酢)
効果の理由:酢の酸性が血液の鉄分(ヘモグロビン)を分解しやすくします。
使い方:
① 血液部分に直接お酢をかける。
② 10分ほど置いてから、冷水で洗い流す。
⚠️ シミのリスク:やや高い(特に濃い色の布)
✔ 注意点:酢は酸性なので、濃色の服やデリケートな素材に使うと色落ちすることがある。使う前に端で試してから使う。
お酢は、△:色落ちの可能性あり
3. 炭酸水(または発泡水)
効果の理由:炭酸の泡が血液の繊維への付着を防ぎ、汚れを浮かせます。
使い方:
① 血液の部分に炭酸水をたっぷりかける。
② しばらく放置した後、やさしく揉み洗いする。
✔ シミのリスク:ほぼなし
✔ 注意点:炭酸水は水に近いので、基本的にシミにはならない。ただし、糖分や香料が含まれている炭酸飲料(コーラやサイダーなど)は逆に汚れの原因になるのでNG!
炭酸水は、◎:シミになりにくい!
4. 牛乳
効果の理由:牛乳に含まれる酵素がタンパク質を分解し、血液汚れを落としやすくします。
使い方:
① 血液がついた部分を牛乳に30分ほど浸す。
② 軽くもみ洗いしてから、水で洗い流す。
⚠️ シミのリスク:やや高い(特に白い服や薄い色の服)
✔ 注意点:牛乳のタンパク質が残ると黄ばみの原因になるため、必ず水でしっかり洗い流す。長時間放置しない。
牛乳は、△:シミになることがある
5. たまねぎの切り口
効果の理由:たまねぎにもタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)が含まれています。
使い方:
① たまねぎを半分に切る。
② 血液の部分にこすりつける。
③ しばらく置いてから、水で洗い流す。
⚠️ シミのリスク:やや高い(特に白い服)
✔ 注意点:たまねぎの汁が黄ばみの原因になることがあるので、使ったあとはすぐに水で洗う。また、たまねぎのニオイが残る可能性があるので、洗剤でしっかり洗うこと。
たまねぎの切り口は、△:シミやニオイが残る可能性あり
☆シミになりにくい順☆
炭酸水(◎)> 重曹(〇)> 酢(△)= 牛乳(△)= たまねぎ(△)
もし大事な服なら、事前に目立たない部分でテストしてから使うと安心です!
★ポイント★
・どの方法も必ず冷水で洗い流すこと!お湯を使うと血液が固まり、落ちにくくなります。
・血液が乾いてしまう前にすぐ対処するのがベスト!

代用品を含んでも、圧倒的に1番おすすめなのは大根おろしです。
大根おろしが優れている理由は、血液のタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)が含まれていること。
これにより、血液が布に定着する前に浮かせて落としやすくしてくれます。
さらに、シミのリスクが低いのもポイント。
他の代用品(酢や牛乳)は、色落ちや黄ばみの原因になる可能性がありますが、大根おろしは基本的にその心配がありません。
✔ 血液汚れを分解して落とす力が強い
✔ シミや黄ばみになりにくい
✔ 食品なので安全に使える
代用品によってはシミが残る可能性があるので、使う前に素材への影響を確認するのが大切です。以下にシミのリスクと注意点をまとめました。
つまり、手軽さ・効果・安全性の3点で、大根おろしが最強!ということになりますね。
血液汚れを大根おろしで落とす際の注意点
1. 乾いてしまった血液には効果が落ちる
血液が乾くと繊維に定着しやすくなるため、大根おろしの酵素の力だけでは落ちにくくなります。
できるだけ早く処理するのがポイントです。
2. まずは水でしっかりすすぐ
血液は熱で凝固するので、いきなりお湯を使うのはNG。
まずは冷水でしっかりすすいで、可能な限り血を落としてから大根おろしを使いましょう。
3. 大根の種類によっては効果に差が出る
大根の中でも辛みが強いものほど酵素が多く含まれているため、汚れ落としには向いています。
辛みの少ない品種(甘い大根)だと効果が落ちることも。
4. 色落ちや繊維へのダメージがないか確認
大根おろしは基本的に安全ですが、素材によっては色落ちやダメージの可能性も。
目立たない部分で試してから使うと安心です。
5. 洗剤を使った仕上げ洗いも忘れずに
大根おろしだけでは落としきれない場合もあるので、最後に洗剤で通常の洗濯をすると完璧です。
すぐに処理&冷水すすぎがカギ!
この裏ワザのポイントは、血液が乾く前に素早く冷水で流し、大根おろしでたたくこと。あとは、仕上げに洗剤でしっかり洗えば、血液汚れをキレイに落とすことができます!
服についた血のシミを簡単キレイに!の、まとめ
服についてしまった血液汚れは、大根おろしを使うことで簡単に落とせる裏ワザがあります。
血液が乾く前に、まず冷水でしっかりすすぎ、繊維の奥に入り込む前にできるだけ落とすことが重要です。
その後、大根おろしを汚れに乗せて軽く叩きながらなじませることで、大根に含まれる酵素が血液のタンパク質を分解し、汚れが浮き上がりやすくなります。
この方法を試す際の注意点として、乾いた血液には効果が落ちるため、できるだけ早く処理することが大切です。
また、仕上げに洗剤で通常の洗濯を行うことで、より確実に血液を落とせます。
大根おろし以外にも、重曹や酢、酸素系漂白剤などで代用できますが、布の種類によってはシミになったり生地を傷める可能性があるため、注意が必要です。
大根おろしは生地に優しく、色落ちの心配も少ないため、血液汚れを落とすのに最適な方法といえます。

血液汚れに困ったときは、焦らずすぐに冷水ですすぎ、大根おろしで処理することを思い出してくださいね!
★おまけ★

・・・すごい。
ほんとに跡形もなくなった。
洗い上がったシャツの袖を手に取り、和臣がまじまじと眺める。

ね?
ちゃんとやれば、血って意外と落ちるんだから。
悠真は満足げに頷くと、ふと真剣な表情になり、和臣の顔をじっと見つめた。

・・・で、なんで血がついたの?
ジリジリと詰め寄る悠真に、和臣はわずかに視線をそらす。

帰り道、子どもが転んで泣いててさ。
手当してたら、袖に血がついたんだ。

・・・なんだ、それならいいけど。
ホッとしたのも束の間、悠真はムッとした顔で和臣の腕を掴む。

でも心配したんだからね。
もう、無茶しないでよ。

無茶なんて――。

心配かけた罰。
悠真はぐいっと和臣に抱きついた。
クスクスと笑いながら、和臣は悠真の背中にそっと腕を回す。

・・・罰にしては甘くない?

もう、心配かけないで。
悠真がぼそっと呟くと、和臣は少し申し訳なさそうに眉を下げ、悠真の髪に優しく唇を落とした。